三中 信弘 (農環研,東京大院農学生命科学)
森元 良太 (慶應義塾大学文学部・哲学)
南部 龍佑 (上智大学文学部・哲学)
直海 俊一郎 (千葉県立中央博物館)
松本 俊吉 (東海大学総合教育センター)
進化学(evolutionary biology)ならびに体系学(systematic biology)のターゲットは過去に起こった現象であり, その視点から現在見られる多様な生物のあり方を論じる. したがって,直接的な観察や実験によって結果を得るというような典型的な”自然科学” のイメージを押し付けることはできない.むしろさまざまな証拠から妥当な説明や仮説を 絞り込んでいくという意味では,”歴史科学”に近い性格をもっているといえるだろう. これまでの科学史や科学哲学は,典型科学としてたとえば物理学などの実験科学を念頭に置いて論じてきたが, そこで得られた科学に関する見解は進化学や体系学にそのままでは適用できない. 進化学や体系学の現代史を振り返ると,どのような科学方法論に依拠すべきかをめぐる論争が繰り返され, それがこれらの個別科学の推進力のひとつになってきた.
今回のシンポジウムでは,近年の生物学哲学(philosophy of biology)の進展を踏まえて,いまいちど進化学・ 体系学と科学哲学の関わり合いについて議論する場を設けたいと考えている.